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製品開発における失敗談や苦労話などの『開発秘話』、デュプロのプロダクトを支える技術、デュプロスタッフの横顔などを語ります。

  • 製品開発

メールシーラー”PS-515Ci” 開発秘話

お客様の声を先取りしたカメラ検査機能付き圧着はがき・封書作成機「メールシーラーPS-515Ci」開発ストーリー

[目次]
-郵便料金の改定を背景にニーズをつかむ
-表面化していない課題に先回りした開発
-自社開発にこだわり、ゼロから作り上げたシステム
-DX時代のものづくり

 

郵便料金が改定され、企業や自治体にとって郵送コストの削減は喫緊の課題となっています。そんな中、デュプロ精工株式会社は、新たにカメラ検査機能を搭載した圧着はがき・封書作成機「メールシーラーPS-515Ci」を開発しました。


今回は、「メールシーラーPS-515Ci」の開発に携わったキーパーソンに集まってもらい、開発の経緯や苦労話などについて振り返ってもらいました。

[出席者]
  ・開発部 本プロジェクトチームリーダー I.R
  ・開発部 ソフト担当 M.N
  ・開発部 マーケティング担当 K.Y

 

郵便料金改定を背景にニーズをつかむ

――まず、郵便料金改定を背景に、圧着はがきのニーズに変化はありましたか。

K.Y
圧着はがきの用途自体は、ここ数年では大きく変わっていません。ただ、郵便料金改定を受けて、今まで封書で郵送していたものをはがき1枚に収めて郵送する郵送料金節約のニーズは確かに増えています。


――
封書を圧着はがきに移行した場合、情報量に変化はありますか。

K.Y
たくさん内容物を入れられるのが封書のメリットです。一方、圧着はがきは開いた時に裏表3ページずつ、計6ページ分の情報量になります。封筒に入れるものが1枚か2枚程度、例えば請求書や明細だけを送るような場合は、圧着はがきの方がコスト面でメリットがあります。


表面化していない
課題に先回りした開発

――メールシーラーPS-515Ciは、カメラ検査機能が一番の目玉です。カメラ機能の搭載はお客様からのご要望があったのでしょうか。

K.Y
実は、お客様から「カメラをつけてほしい」という明確な要望があったわけではないんです。お客様の現場で、メールシーラーから出てきた圧着はがきを、手に取って枚数を数え、内容物を目視確認されているのを見て、これは「認識されていない課題」ではないかと思ったのです。

人の目で見る作業には正確さに限界がありますし、そもそも人間がチェックすること自体、そこにリソースが割かれているわけです。カメラ検査機能を搭載することで、人の手間とヒューマンエラーを減らし、より確実な検査ができないかと考えました。お客様の要望からスタートしたというより、私たちからの提案型の開発ですね。


自社開発にこだわり、ゼロから作り上げたシステム

――カメラ検査機能の開発にあたって、技術的な難しさはどういった点でしたか。

I.R
最大の難しさはなんといっても自社開発にこだわった点でした。既存のカメラ検査装置は高額なものが多く、お客様に使っていただきやすい価格に仕上げるためには、カメラの読み取り技術から自社開発する必要がありました。

本当に何も分からない状態からのスタートで、カメラやレンズの選定、照明用のLED基板の設計まですべて手探り。開発には約1年半かかりました。LEDの光量や文字認識等の画像処理関連で様々な課題が発生し、その都度取引先・サプライヤーの皆様からも多くの情報やアドバイスなどご協力を頂いての開発でした。

 

――カメラで撮影した画像を管理するアプリも社内で開発されたとか。

I.R
読み取った画像とログをパソコンに保存し、後から確認できるアプリを開発しました。仕様を決めるのに2〜3ヶ月はかかったのではないでしょうか。


M.N
お客様の使い勝手と技術的な実現可能性のバランスを考え、トレーサビリティ重視で「この用紙はいつ、誰が、どのように処理したか」という記録を残すことを優先した仕組みにしました。


――
実際に導入されたお客様からの反応はいかがですか。

K.Y
今まで目視で確認していた作業がカメラで自動化され、さらにログが残るという点が特に好評です。はじめはカメラ機能は必要ないとおっしゃっていたお客様も、実際の事例をご覧になると「これはいい」と導入を決めていただけるケースもあります。


――
主にどのような業種のお客様に使われているのでしょうか。

K.Y
市役所など行政機関の、税金や水道料金などの通知物を発行する部署が代表的な納品先です。また、そうした業務を請け負う印刷会社でもお使いいただいています。お客様によっては数万通、数十万通という大量の郵便物を処理するケースもあります。特に行政関係の通知は特定の時期に送らないといけないものが多いので、処理速度は非常に重要です。

またカメラ検査機能によって、いつハガキを処理したかという記録が残るので、万が一郵送トラブルが発生した場合にも「この郵便物は確かに送付しました」という証拠になります。これは従業員の方を無用なトラブルから守ることにもつながります。

DX時代のものづくり

――DXやペーパーレス化が進む中で、紙媒体を扱う機器メーカーとして、今後の展望についてどのようなビジョンをお持ちですか。

K.Y
当社はこれまで紙を扱う機械を作ってきましたが、時代の流れとしてペーパーレス化も進んでいます。そういった中で、紙にこだわらず、様々な形でお客様のお役に立てる製品づくりを考えています。今回開発したカメラ検査技術も、紙以外の分野で応用できる可能性があります。


I.R
完全に個人的な視点なのですが、今回のカメラ検査技術を開発しながら、ペット関連の製品を作れたら楽しいなと考えていました。例えば、猫の顔をAIで認識して、餌を食べた時間や体重の増減などを管理するといったことです。今回のカメラ技術とAIを組み合わせれば、どんどん新しい可能性が広がると思います。


――今後の製品開発への想いをお願いします。

K.Y
私たちは「選ばれ、喜ばれる企業に」という理念のもと、これからもお客様の課題解決に貢献できる製品を開発していきたいと思います。今回のメールシーラーPS-515Ciも、お客様の声を聞きながら、社内一丸となってさらに良い製品に育てていきたいですね

メンバー紹介

  • 開発部
    ハード設計担当
    I.R
    メッセージ
    製品のハード全般の設計担当
  • 開発部
    M.N
    メッセージ
    機械の動作制御・表示設計およびOCRによる文字認識部分の設計を担当
  • 開発部
    マーケティング担当
    K.Y
    メッセージ
    営業・マーケティング担当としてお客様訪問や、全国各地の販売会社営業への営業支援

※掲載情報は取材当時のものです